「構えようとしたら、クラブが当たってボールが動いてしまった」
「素振りで触れてしまったけれど、これは1打になるの?」
「グリーンでは罰がないと聞いたけれど、元に戻せばよい?」
ラウンド中にこうした場面が起きると、どう処置すればよいのか迷うことがあります。
止まっている自分のボールを動かした場合は、ボールがあった場所、動いた原因、そのとき何をしていたかによって扱いが変わります。
まずは「罰がつくか」と「ボールをどこからプレーするか」を分けて整理してみましょう。
自分のボールを動かしたら、原則は「1罰打+リプレース」
プレー中の止まっている自分のボールを、自分の行動によって動かした場合は、原則として1罰打を加え、元の箇所にリプレースします。
リプレースとは、ボールを元の箇所など、規則で定められた箇所に置くことです。ただし、グリーン上で偶然動かした場合や、ボールを探している途中で偶然動かした場合などには、罰がつかない例外があります。randa.org
たとえば、フェアウェイやラフで素振りをして、クラブが自分のボールに当たり、動かしてしまった場合。通常は1罰打を加え、元の位置に戻してからプレーします。randa.org
このとき、素振りで偶然当たった動作そのものを、ボールを打つための1打として数えるわけではありません。「行ったストローク」と「加える罰打」は分けて考えます。jga.or.jp
※この記事では、主に構えや素振りなど、実際に打つためのスイングを始める前の場面を扱います。打つためのバックスイング中などに球が動き、そのままストロークを行った場合は、別の規定があります。randa.org
「ボールが動いた」と「揺れただけ」は違う
元の位置から別の位置に移ったかを確認する
ゴルフ規則でいう「動いた」とは、止まっていたボールが元の箇所を離れ、別の箇所に止まったことを、肉眼で確認できる状態です。横に転がるだけでなく、上下方向の移動も含みます。
一方、ボールが揺れたり振動したりしても、元の位置にとどまっている、または戻っている場合は、規則上「動いた」ことにはなりません。jga.or.jp
なお、偶然触れただけで動かなかった場合と、規則で認められていないのに故意に触れた場合は別です。故意の接触には、ボールが動かなくても罰がつくことがあります。randa.org
構えていたという理由だけで、自分が原因とは決めない
ボールの近くにいたとしても、自分の行動が原因とは限りません。風などの自然の力で動く場合もあります。
自分が原因と扱われるのは、それが分かっている、または事実上確実な場合です。接触の有無や周囲の状況を確認し、判断に迷うときは、同伴者が見ていたことも聞いて整理しましょう。Deciding what caused ball to move
罰がつかない主な例外|グリーン・捜索中・ティーショット前
よくある場面を比較すると、次のようになります。
| 場面 | 罰の基本 | ボールの扱い |
|---|---|---|
| フェアウェイやラフで、通常の素振りが当たって動かした | 1罰打 | 元の箇所にリプレース |
| プレー中のホールのグリーン上で、偶然動かした | 罰なし | 元の箇所にリプレース |
| ボールを探している、または確認している途中で偶然動かした | 罰なし | 元の箇所にリプレース |
| そのホールの最初のストローク前に、ティーアップした球をうっかり落とした | 罰なし | ティーイングエリア内で再びティーアップできる |
同じ「うっかり動かした」でも、場所や状況によって扱いが異なります。randa.org
グリーン上で偶然動かした場合
プレー中のホールのグリーン上で、パターがうっかり当たったり、足で偶然触れたりしてボールを動かした場合は、罰なしで元の箇所に戻します。
ここで確認したいのは、自分が立っていた場所ではなく、ボールがあった場所です。グリーンの周囲にあるカラーやエプロンまで、同じ扱いになるとは限りません。
また、この例外は偶然の動きに対するものです。グリーン上の球を自分で拾い上げるときは、先に位置をマークする手順が必要です。randa.org
ボールを探している途中で偶然動かした場合
ラフで自分のボールを探しているときや、自分の球か確認しようとしているときに、偶然動かしてしまった場合も罰はありません。ただし、ボールは元の箇所に戻します。
このとき、草に沈んでいた球を、打ちやすいように草の上へ置き直してよいわけではありません。元の位置や状態を踏まえた処置が必要です。
なお、捜索を始める前に、歩いていて自分の球を蹴ってしまった場合まで、捜索中の例外になるわけではありません。randa.org
ティーショット前にボールを落とした場合
そのホールの最初のストロークを行う前に、構えや素振りでティーアップしたボールを落としても、罰はありません。ティーイングエリア内で再びティーアップできます。
ただし、ボールを打つ意思で振って空振りした場合は、そのストロークを数えます。「素振りで当たった」と「打とうとして空振りした」は、区別しておきましょう。randa.org
リプレースの基本|元の場所へ戻す手順
リプレースが必要と分かったら、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
1.ボールが元にあった箇所を確認する
まず、動く前の位置を確認します。正確な箇所が分からない場合は、見ていた状況などをもとに推定します。
元の位置が不明だからといって、その付近へドロップする処置に変わるわけではありません。
2.通常は同じボールを、手で置く
通常は、それまで使っていたボールを使用します。元の箇所に手で置き、そこで止まるように手を放します。
クラブで転がして戻したり、上から落としたりする方法は、規則で定められたリプレースの方法とは異なります。
3.元の状態が変わっていないか確認する
ボールを踏んで周囲の状態が変わった場合や、元の箇所に置いても止まらない場合には、別の手順があります。
自分にとって打ちやすい場所を選ぶ前に、規則を確認しましょう。競技で判断に迷う場合は、レフェリーや競技委員に状況を伝えて確認することが大切です。以上が、規則14.2に基づくリプレースの基本です。randa.org
風で動いた場合は、自分で動かした場合と処置が異なる
風や水などの自然の力で止まっていたボールが動いた場合は、通常、罰なしで新しく止まった場所からプレーします。
ただし、自然の力で動いた場合にも、元へ戻す例外があります。randa.org
グリーン上では「拾い上げて戻したか」がポイント
グリーン上で風によってボールが動いた場合は、次の違いを確認します。
| 風で動く前の状態 | 基本の処置 |
|---|---|
| そのグリーン上で、まだ拾い上げてリプレースしていない | 新しく止まった場所からプレー |
| そのグリーン上で、すでに拾い上げてリプレースしている | 動く前の箇所にリプレース |
マーカーを置いただけで、まだボールを拾い上げていなければ、「拾い上げてリプレースした後」には当たりません。randa.org
また、ドロップ・プレース・リプレースによってインプレーにした球がいったん止まり、その後、自然の力で別のコースエリアやOBへ移動した場合にも、罰なしで元へ戻す例外があります。randa.org
元に戻さず打ったらどうなる?誤所からのプレーに注意
自分が動かしたと分かっていて、戻すべきボールを戻さずに打つと、誤所からのプレーになります。これは、規則でプレーすべき場所とは違う場所から打つことです。
一般の罰が適用され、ストロークプレーでは2罰打、マッチプレーではそのホールの負けとなります。
たとえば、フェアウェイで自分の球を蹴って動かし、元に戻さず打った一連のケースでは、球を動かした1罰打をさらに足して3罰打とするのではなく、合計2罰打となります。JGA 日本ゴルフ協会
なお、ストロークプレーで誤所から打ったことが著しい利益につながる重大な違反では、正しい場所からプレーし直す訂正も必要です。打った後で気づいた場合は、競技委員などに速やかに確認しましょう。randa.org
※ローカルルールE-14が採用されている競技では、球が動いたことにも、その可能性にも全く気づかずに打った限定的な場合、誤所からのプレーとせず、通常は球を動かした1罰打のみとする扱いがあります。「動いたかもしれない」と認識していた場合は対象外です。競技では、当日のローカルルールも確認してください。2023年ゴルフ規則の追加の詳説2025年4月9日更新
ラウンド中に迷ったときの確認チェックリスト
ボールが動いたと感じたら、次を順番に確認してみましょう。
- どこにあったか:フェアウェイ、ラフ、グリーン、ティーイングエリアなど。
- 何をしていたか:構え、素振り、捜索、球の確認など。
- 何が原因だったか:自分の接触、風、ほかの人の行動など。
- 次の処置は何か:元へ戻すのか、新しい場所から打つのか。
覚え方の一例として、**「場所 → 状況 → 原因 → 処置」**の順に考える方法があります。
ボールの近くで慌ててクラブや足を動かすと、意図しない接触につながる可能性があります。素振りをする場所や、ボールへ近づく順番も、普段のレッスンで確認しておくとよいでしょう。
理解しやすい説明や覚えるペースには個人差があります。文章だけでは分かりにくい場合は、ボールとマーカーを使い、コーチと一緒に処置を確認する方法もあります。
ショットと一緒に、コースで迷わない準備も
ゴルフレッスンでは、スイングの改善に加えて、ラウンド中に戸惑った場面を振り返ることも、学び方のひとつです。
「どこで、何をしていて、どうなったか」をメモしておくと、次に確認したいことを整理しやすくなります。
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