🦃 グリーンの真ん中で羽を広げる七面鳥(アメリカ・メイン州)
まだ朝霧が芝に残る早朝、グリーン上にふわりと現れる影。それは人影ではない。
クラブを構えるゴルファーの視線の先、完璧に整備されたグリーンの中心で、**大きく羽を広げて悠然と佇む七面鳥(ターキー)**がいた。
そんな自然の演出が、ニューイングランド地方・メイン州のゴルフ場では現実のものとして繰り返されている。
❖ 七面鳥:北米の“国鳥になりかけた”鳥
七面鳥(Wild Turkey / 学名:Meleagris gallopavo)は、アメリカを象徴する野鳥のひとつ。実は、かのベンジャミン・フランクリンが「アメリカの国鳥にふさわしい」と主張したことでも知られる。
全長1メートルを超えることもあるこの鳥は、野生では非常に警戒心が強く、俊敏で、意外なほど飛翔力もある。とはいえ、ゴルフ場のように外敵が少なく、食料が豊富で安全な環境では、人間に対しての距離感もかなり縮まり、堂々とした姿を見せるようになる。
❖ なぜグリーンの上に現れるのか?
七面鳥は主に地上を歩き回って生活しており、餌を探すために草地をくまなく移動する。
彼らの主な目的は次の3つ:
- 採餌:芝に潜む昆虫、小さな果実、落ちた種子など
- 砂浴び:乾いたバンカーや裸地を見つけると羽を広げて砂を浴びる
- 誇示行動:繁殖期(春)にはオスが羽を広げて「ディスプレイ」と呼ばれる求愛行動をする
つまり、ゴルフ場のグリーンという、視界が良く平坦で、敵のいない広場のような環境は、彼らにとって「見せ場」そのものなのだ。
特に春先、メイン州の森から出てきたオスの七面鳥が、朝露の残るグリーン中央で扇のような羽を広げて、太陽の光を浴びる様子は、まるで王の登場を思わせる荘厳さがある。
❖ プレイヤーと七面鳥の攻防
七面鳥は普段は人間を避けるが、特にオスは繁殖期に縄張り意識が強くなり、人間にも「競争相手」として対抗姿勢を見せることがある。
以下のような行動が報告されている:
- カートのミラーに映る自分の姿に威嚇して突進する
- バッグの光沢に反応して羽を膨らませる
- パターでボールを構えているゴルファーを“敵”と見なして威嚇する
とはいえ、これらの行動は防御的かつ一時的で、決して攻撃的な鳥ではない。
むしろ、静かにその場を離れるまで待つというのが最も賢明な対処法である。
❖ ゴルフ場での七面鳥対策と共存
メイン州の多くのゴルフ場では、七面鳥の出没を受け入れながらも、プレイへの支障を減らすための工夫を行っている:
- 朝のオープン前にスタッフがコースを見回り、安全確認
- 「七面鳥注意!」のサインをティーボックスに設置
- オスの活動が活発な春先には、イベントや大会のティータイムを調整
また、常連個体にはニックネームが付けられることも多く、たとえば「サミー」「フラッファー」など、地域コミュニティに愛される存在として定着している。
❖ ゴルフと“野生の荘厳”が交差する場所
七面鳥の羽を広げた姿には、見た目以上の迫力と気高さがある。
その場にいる誰もがクラブを止め、カートを止め、ただじっとそのシルエットに見入ってしまう。
まるで、静寂と芝生と朝陽がすべて揃った“即興の自然劇場”だ。
この非日常的な瞬間が、ゴルフというスポーツに自然の不確実性と美しさを加えてくれる。
それはスコアとはまったく関係のない、心に残るワンシーンだ。
🌿 野生との共演を楽しむ余裕
近年、「人と自然の共生」が強く叫ばれるようになったが、実はゴルフ場こそが、その最前線のひとつである。七面鳥の存在は、私たちにそのことを思い出させてくれる。
ティーショットの前に深呼吸をしたとき、目の前のグリーンに野鳥が佇んでいたら——
プレイを急がず、その一瞬を楽しむ心の余裕こそが、ゴルフの本質なのかもしれない。
🐻 林間から突然現れるクロクマ(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)
静かな森に囲まれたフェアウェイ。風の音、鳥のさえずり、そしてプレイヤーの軽やかなスイング音。
そんな穏やかな時間を切り裂くように、**林の影から黒く大きな塊がゆっくりと姿を現す――それはクロクマ(ブラックベア)**だった。
カナダ西部・ブリティッシュコロンビア州では、こうした一瞬の“野生との遭遇”が実際にゴルフ場で起こりうる。
❖ クロクマとは?
カナダに広く分布する**アメリカクロクマ(Ursus americanus)**は、北米で最も一般的なクマの一種。
体長は1.5〜2メートル、体重は100〜300kg前後(個体差あり)。見た目は大型だが、性格は臆病で、基本的に人間を避ける傾向がある。
ただし、食べ物の匂いや興味を引くものがあると、人間のエリアにも現れることがある。森に隣接したゴルフ場は、そんな“つい立ち寄ってしまう場所”のひとつになっている。
❖ なぜゴルフ場に出てくるのか?
ブリティッシュコロンビア州の多くのゴルフ場は、森林や山岳地帯と隣接している。つまりクロクマの生息地とゴルフ場が地続きになっており、ゴルファーが自然に入り込んでいる状態ともいえる。
クロクマがゴルフ場に現れる主な理由は以下の通り:
- ベリーやどんぐりなどの植物が豊富(特に秋)
- プレイヤーが持ち込んだ食料の匂いに引き寄せられる
- フェアウェイは歩きやすく、移動が容易
- 水辺や池が多く、暑い日には水浴びスポットに
とくに春先(冬眠明け)と秋(冬眠前の食いだめ時期)は、活動量が増え、出没が顕著になる。
❖ 実際の遭遇シーンとは?
プレイヤーが林間ホールを回っているとき、突如フェアウェイの端に黒い影が出てくることがある。
一見のんびりしているようでも、ゴルファーのカートに近づいたり、落ちたお菓子の袋に鼻を寄せたりする個体も。
特に若い個体は好奇心が強く、カートやバッグに興味を示すこともあり危険。そのため、遭遇時の対応が極めて重要だ。
❖ 遭遇したときの対応
もしラウンド中にクロクマを見かけたら、取るべき行動は以下の通り:
- 近づかない(最低でも50m以上)
- 静かに後退し、騒がない
- 絶対に食べ物を与えない・落とさない
- バッグやゴミを置いたままその場を離れない
- スタッフや ranger に報告する
攻撃的な個体は稀だが、「驚かせる」「脅威と見なされる」ことで防衛行動をとるリスクがあるため、冷静さと距離感がもっとも重要となる。
❖ ゴルフ場での対策と運営の工夫
野生動物が頻繁に現れるブリティッシュコロンビア州では、ゴルフ場も共存を前提とした運営を行っている:
- 早朝と夕方に ranger が巡回し、動物の痕跡や目撃情報をチェック
- コース入口やクラブハウスに「ベア・アラート(熊警戒)」の掲示
- カートに「食べ物は密封管理を」と明記
- ゴミ箱はベアプルーフ(耐熊設計)を導入
また、地元のゴルフ場ではスタッフが「クマの季節」を把握しており、ラウンド中にプレイヤーへ声かけをすることも。
❖ クマは脅威か?それとも“共演者”か?
クロクマと聞くと「怖い」「襲われる」というイメージが先行するが、実際には人間と距離を取りながら生きている静かな隣人であることが多い。
彼らの姿は、山と森が広がるブリティッシュコロンビアの自然を象徴する存在だ。
そのクマが、ティーグラウンドの脇でゆっくりと歩いていく――それは恐怖よりも感動に近い瞬間である。
🌲 森の王者との“偶然のラウンド”
スコアとはまったく関係のない、ただ一つの「記憶に残るホール」。
それが、クロクマとの遭遇がもたらす体験だ。
彼らは野生のままそこにいて、私たちは一時的な通りすがりにすぎない。
その関係を理解し、尊重することこそ、ゴルフという自然に開かれたスポーツにふさわしい心構えだろう。
🦡 芝を縦横無尽に掘るアナグマ(アメリカ・モンタナ州)
プレイヤーがグリーンに近づいた瞬間、目の前の芝に不自然な穴。まるで誰かがスコップで掘り返したかのように、土がむき出しになっている。
そして遠く、フェアウェイの端を小さな塊が素早く横切っていく。
それは――**アナグマ(アメリカアナグマ)**の仕業だった。
アメリカ北西部・モンタナ州の大自然の中に広がるゴルフ場では、この小さくも力強い穴掘り名人が、しばしば“芝荒らし”として姿を現す。
❖ アナグマってどんな動物?
アメリカアナグマ(American badger / 学名:Taxidea taxus)は、北アメリカの草原地帯や砂漠に生息する肉食性の小型哺乳類。体長は60~80cm、体重は6~10kg程度。
見た目は可愛らしくも頑丈で、白と黒の縞模様が顔に入っているのが特徴だ。地面に穴を掘って巣を作り、主に地中の小動物(ジリスやモグラ)を狩る。このため、芝生の下にいる生き物を察知すると、豪快に掘り返してしまう。
❖ ゴルフ場が“狩りのフィールド”に
モンタナ州のゴルフ場は、丘陵や草原に囲まれていることが多く、芝の下にリスやモグラが潜んでいることも多い。整備された芝地は柔らかく、アナグマにとっては掘りやすく、かつ獲物が豊富な「理想の狩猟場」なのだ。
とくに彼らが好む時間帯は早朝と夕方。そのため、ラウンドの最中に地面からひょっこりと顔を出すこともある。
❖ 目撃される「掘り返し跡」の実態
プレイヤーたちにとって最も悩ましいのは、アナグマが残す広範囲な掘削跡である。特徴的なのは:
- フェアウェイのど真ん中に直径30〜50cmの穴
- グリーン脇に盛り上がった土の山
- バンカー横に縦長の掘り込み溝
これらの痕跡は、芝の美観を損ねるだけでなく、プレイそのものに大きな影響を及ぼす。ボールが掘り跡に入れば救済を受けることになるが、ラウンドのリズムが崩れてしまうこともある。
❖ 対策と共存の工夫
モンタナのゴルフ場では、アナグマ対策としてさまざまな手段が講じられている:
- 地面下のジリス駆除による間接的な個体誘導
- 夜間照明や人の気配を残すことで接近を抑制
- 掘削跡を見つけた際のスタッフによる迅速な芝補修
また、一部のゴルフ場では自然保護の観点から、アナグマに危害を加えず、芝の補修で対応する方針を採用している。つまり、ゴルファーもスタッフも「野生との共存は避けられない前提」として向き合っているのだ。
❖ アナグマは攻撃的?
アナグマは通常、人間に対して攻撃することはないが、追い詰められたり巣を脅かされたと感じたときには、低く唸り声をあげ、威嚇姿勢をとることもある。
遭遇した際には:
- 絶対に近づかない
- フラッシュ撮影や物音で驚かさない
- 巣穴や掘り返し跡をのぞき込まない
が鉄則だ。野生動物である以上、穏やかに見えても予測不能な行動をとる可能性は常にある。
❖ ゴルフ場の“影の住人”
アナグマは、目立たない存在ながら、ゴルフ場の生態系にとっては重要な「害獣コントロールの担い手」でもある。モグラやリスの個体数を抑え、地下のバランスを保っている側面もあるのだ。
また、モンタナのゴルフ場では、特定のアナグマの掘り返し跡が「名物ホール」と化すケースもある。スタッフが思わず「今日はティーショットが“バジャー・トラップ”に入ったな」と冗談交じりに語ることもしばしば。
🏌️♂️ ラウンド中に感じる“地面の下の気配”
風の音だけが響くホール。足元には芝の下からわずかに盛り上がった土。
「この下にあいつがいるかも」と思うと、ラウンドの緊張感が一段増す。
アナグマは地面の下で静かに活動しているが、その存在感は確かにプレイヤーに影響を与えている。ゴルフというスポーツが、ただのコースゲームではなく、自然の中での予測不能な挑戦であることを実感させてくれる存在だ。
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