「雨上がりのフェアウェイでボールが地面にめり込んでいる」
「ラフに入ったボールが土の中に沈んでいるけれど、動かしていいの?」
こうした場面は、ゴルフをしていると意外と起こります。
地面に食い込んだボールは、条件を満たしていれば規則16.3により罰なしで救済を受けられる場合があります。
ただし、「ボールが沈んでいる=無条件で動かしてよい」というわけではありません。
特に確認したいのが、
- どの場所にボールがあるのか
- 自分のショットによってできた跡なのか
- 本当に地面に食い込んでいる状態なのか
- コースや競技のローカルルールで制限されていないか
という点です。
今回は初心者〜中級者の方にも分かりやすいように、「地面に食い込んだ球(Embedded Ball)」について規則16.3を中心に整理します。
※この記事は2026年10月1日時点で公開されているR&A・JGAの規則情報をもとに整理しています。競技では、その大会で採用されているローカルルールもあわせて確認してください。
結論|地面に食い込んだボールは条件を満たせば無罰救済できる
まず結論からです。
プレーヤーが打ったボールがジェネラルエリアで、自分の直前のストロークによってできたピッチマークに食い込み、ボールの一部が地表面より下にある場合は、原則として罰なしの救済を受けることができます。
ここで重要なのは、
「ボールが芝の中に沈んで見えること」と「規則上、地面に食い込んでいること」は同じではない
という点です。
単に深いラフの中にボールが沈んでいるだけでは、規則16.3の救済対象にならない場合があります。
規則16.3の「地面に食い込んだ球」とは?
規則上、地面に食い込んだ球として扱われるには、主に2つの条件があります。
1.自分の直前のストロークでできたピッチマークに入っている
まず、
そのボール自身が作ったピッチマークに食い込んでいること
が必要です。
例えば、柔らかい地面にアプローチショットが落ち、その勢いでボールが地面に食い込んだケースです。
反対に、
- 誰かがボールを踏んで地面に押し込んだ
- 救済でドロップしたボールが地面に沈んだ
- ボールが地面に直接打ち込まれ、通常の球の飛行を経ずに食い込んだ
といったケースは、規則16.3でいう「地面に食い込んだ球」には該当しません。
2.ボールの一部が地表面より下にある
もうひとつ重要なのが、
ボールの一部が地表面の高さより下にあること
です。
ボール全体が深く埋まっている必要はありません。
一部が地表面より下に入り込んでいれば、規則上「食い込んでいる」と判断できる場合があります。
一方、
「ラフが深くてボールが見えにくい」
「芝に包まれている」
というだけでは十分ではありません。
JGAも、罰なしの救済を受けるためには球の一部が地表面より下に食い込んでいる必要があると説明しています。
フェアウェイだけ?ラフでも無罰救済できる?
ここは非常に誤解されやすいポイントです。
現在の基本的な規則では、
フェアウェイだけでなく、ジェネラルエリア内であればラフに食い込んだ球も原則として規則16.3の対象になります。
ジェネラルエリアとは?
簡単にいうと、コース内の大部分を占めるエリアです。
ただし、
- 現在プレーしているホールのティーイングエリア
- バンカー
- ペナルティーエリア
- 現在プレーしているホールのパッティンググリーン
などは別のコースエリアとして扱われます。
そのため、
「フェアウェイではない=救済できない」ではありません。
深いラフであっても、条件を満たせば救済を受けられる可能性があります。
ただし砂の中に食い込んだ場合には例外がある
ジェネラルエリアであっても注意したいのが「砂」です。
規則16.3では、
フェアウェイの高さ以下に刈られていないジェネラルエリアの砂に球が食い込んでいる場合、原則としてこの規則による罰なしの救済はありません。
例えば、コースによって設けられている自然の砂地などでは注意が必要です。
「ジェネラルエリアだから、どこでも無罰救済できる」と覚えてしまうと判断を間違える可能性があります。
バンカーに食い込んだ場合は?
バンカーはジェネラルエリアではありません。
そのため、
バンカー内でボールが砂に食い込んだ場合、規則16.3による無罰救済は受けられません。
雨の後などはバンカーの斜面にボールが深く入ることもありますが、「食い込んだから無罰で出せる」と判断しないよう注意しましょう。
別の規則やローカルルールが関係する状況もあるため、競技では判断に迷ったらレフェリーや競技委員に確認するのが安全です。
パッティンググリーンに食い込んだ場合は?
パッティンググリーンでは扱いが異なります。
規則16.3による救済ではありませんが、グリーン上の球については、
- ボールの位置をマークする
- ボールを拾い上げる
- ボールをきれいにする
- ボールの衝撃によってできた損傷を修理する
- 元の位置にボールをリプレースする
という処置が認められています。
つまり、
グリーン上だから食い込んだまま打たなければならない、ということではありません。
ただし、ジェネラルエリアで行う「1クラブレングス以内へのドロップ」とは処置が違うので注意してください。
地面に食い込んでいるか分からないときはボールを拾って確認できる?
実際のラウンドでは、
「これ、地面に食い込んでいるのかな?」
と判断しにくいことがあります。
規則上、無罰救済が認められる状態にあると合理的に考えられるものの、ボールを拾わなければ確認できない場合は、確認のためにボールを拾い上げることができます。
ただし、安全な手順として覚えておきたいのは、
先にボールの位置をマークしてから拾い上げ、救済を受けられるか確認できるまではボールを拭かないこと
です。
確認した結果、食い込んでいなかったら?
その場合は、原則として元の位置にリプレースします。
JGAも、球が食い込んでいないことが確認された場合は、球を拭かずに元の箇所へリプレースする必要があると説明しています。
競技では処置を間違えると罰につながる可能性があるため、迷った場合には同伴競技者だけで判断せず、可能であればレフェリーや競技委員に確認しましょう。
規則16.3の正しい救済方法
では、無罰救済を受けられると判断できた場合、どのように処置するのでしょうか。
基本的な考え方はシンプルです。
① ボールが食い込んでいた場所のすぐ後ろを基点にする
救済エリアを決める基準になるのは、
ボールが食い込んでいた場所のすぐ後ろにあるジェネラルエリアの地点
です。
ホールに近づく方向ではありません。
② 基点から1クラブレングス以内が救済エリア
その基点から、
1クラブレングス以内
が救済エリアとなります。
ただし、
- ジェネラルエリア内であること
- 基点よりホールに近づかないこと
という条件があります。
③ 救済エリア内にドロップする
元のボール、または規則上認められる別のボールを救済エリア内にドロップします。
そして、ボールが救済エリア内に止まれば、そこからプレーを続けます。
30秒で確認|地面に食い込んだ球のセルフチェック
ラウンド中に迷ったときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
チェック1
自分が直前に打ったショットによって食い込んだ?
→ YESなら次へ。
チェック2
ボールの一部が地表面より下にある?
→ YESなら次へ。
チェック3
ボールはジェネラルエリアにある?
→ YESなら次へ。
チェック4
刈り込まれていないジェネラルエリアの砂に食い込んでいるケースではない?
→ 問題なければ次へ。
チェック5
ローカルルールによる制限はない?
→ 問題なければ、規則16.3による無罰救済を検討できます。
よくある勘違い①「雨で地面が柔らかければ自由にボールを動かせる」
これは誤解です。
雨で地面が柔らかくなっていても、それだけでボールを自由に動かせるわけではありません。
規則16.3の条件を満たしているのか、あるいは別のローカルルールが適用されているのかを確認する必要があります。
雨の日などに「プリファードライ」や「リフト・クリーン・プレース」と呼ばれるローカルルールが採用されることがありますが、これは規則16.3とは別の考え方です。
よくある勘違い②「ラフでは救済できない」
現在の通常の規則では、これは必ずしも正しくありません。
規則16.3は原則としてジェネラルエリアを対象にしているため、ラフであっても条件を満たせば救済対象になる可能性があります。
ただし、競技委員会はローカルルールによって、無罰救済を「フェアウェイの高さ以下に刈られた場所」に限定することができます。
そのため、競技ではローカルルールの確認が重要です。
よくある勘違い③「ボールが芝に隠れていれば食い込んでいる」
芝に沈んでいることと、地面に食い込んでいることは別です。
例えば深いラフでは、ボールの下に草があり、見た目ではかなり沈んでいるように見えることがあります。
しかし規則上重要なのは、
ボールの一部が地表面より下にあるか
です。
見た目だけで判断しないことが大切です。
よくある勘違い④「誰かに踏まれて埋まったボールも16.3」
これも規則16.3とは扱いが異なります。
誰かが誤ってボールを踏み、地面に押し込んだ場合、それはプレーヤーの直前のストロークによって作られたピッチマークではありません。
そのため、規則16.3の「地面に食い込んだ球」としては扱いません。
ローカルルールがある場合はそちらも確認する
規則16.3を覚えるうえで、もうひとつ重要なのがローカルルールです。
通常の規則ではジェネラルエリア内の食い込んだ球が対象ですが、委員会はモデルローカルルールF-2を採用し、救済をフェアウェイの高さ以下に刈られた区域だけに限定することができます。
そのため、
「前にラフで救済できたから、今回もできる」
とは限りません。
特に競技では、
- 競技規定
- ローカルルール
- スタート前に配布される資料
- ゴルフ場からの案内
を確認しておくと安心です。
規則16.3を覚えるときは「場所→状態→救済」の順番で考える
ルールを細かく丸暗記しようとすると、ラウンド中に混乱しやすくなります。
初心者の方には、
1.場所
ジェネラルエリアなのか?
2.状態
自分のショットでできたピッチマークに、ボールの一部が地表面より下まで食い込んでいるのか?
3.救済
球のすぐ後ろを基点に、1クラブレングス以内・ホールに近づかないジェネラルエリアへドロップする。
という順番で整理するのもひとつの方法です。
ただし、砂地の例外やローカルルールもあるため、競技では迷ったまま自己判断で処置しないことが大切です。
まとめ|「食い込んでいる=無罰」ではなく条件を確認しよう
地面に食い込んだボールは、規則16.3の条件を満たせば罰なしで救済を受けられます。
ポイントを整理すると、
- 自分の直前のストロークによるピッチマークである
- ボールの一部が地表面より下にある
- 原則としてジェネラルエリア内である
- ラフでも対象になる可能性がある
- バンカーは規則16.3の対象外
- ジェネラルエリアの砂には救済できない例外がある
- 救済エリアは球のすぐ後ろを基点に1クラブレングス以内
- ホールに近づいてはいけない
- ローカルルールで救済範囲が制限されている場合がある
という点を押さえておきましょう。
ゴルフルールは「罰を覚えるもの」というより、正しい選択肢を知ってプレーをスムーズに進めるためのものです。
ルールとあわせて、自分のショットの傾向やコースでの判断力も整理できると、ラウンド中の迷いを減らしやすくなります。
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